整形外科
[ 診療担当医表:整形外科 ]
受付時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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午前 8:30 ~11:30 | 杉田 | 杉田 | 山中 | 杉田 | ー | 戸田(第1,3,5) 大島(第2,4) |
午後 13:30 ~ 17:00 | ー | ー | 山中 | ー | ー | ー |
受付時間 | 月 | 火 | 水 |
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午前 8:30 ~11:30 | 杉田 | 杉田 | 山中 |
午後 13:30 ~ 17:00 | ー | ー | 山中 |
受付時間 | 木 | 金 | 土 |
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午前 8:30 ~11:30 | 杉田 | ー | 戸田(第1,3,5) 大島(第2,4) |
午後 13:30 ~ 17:00 | ー | ー | ー |
○ 骨粗鬆症検診について
日本では過去30年間に大腿骨近位部骨折が3.6倍に増加しています。多くの先進国で骨折が減少しているのに対して、日本だけが増加していると言われています。その原因の1つは、多くの方が骨粗鬆症であるという認識が少なく、特に関西では骨粗鬆症の検査を受ける人が少ないようです。また、東日本と西日本で大腿骨近位部骨折の発生頻度が大きく異なり、最も少ない東北地方に対して、最も多い兵庫県は2倍近くの方が骨折しています。その原因として考えられることは、骨に必要なビタミンD、ビタミンKの摂取が西日本で不足していることです。したがって、まずは骨粗鬆症の検診を受けることをお勧めします。
骨粗鬆症の検査には骨密度検査、血液検査(ビタミンD、Kや骨破壊の程度を見るTRACP-5b、骨形成を見るP1NPなど)を行い、その人の病態に応じた治療や予防を提案しています。腰椎や大腿骨での骨密度検査をしたことのない方や両親が骨粗鬆症で骨折をしている方には特に検査をすることをお勧めします。女性であれば骨密度の低下が始まる50代からの検診がいいと考えます。
○ 一般整形外科の治療について
高齢者に多い骨折には椎体骨折、手関節の骨折、大腿骨近位部の骨折があります。椎体骨折では骨折の初期に重症度判定を行い、後遺障害の残りやすい不安定な骨折や激しい痛みのため自宅での生活が困難な骨折では、入院していただき、潰れた椎体をギプスにより整復し、早期に歩行を開始することで自宅での生活ができるように治療しています。
慢性の腰痛や膝の痛みなどに対しては、お薬、ブロック注射、関節内注射、運動療法などを行っています。
一般的な骨折については当院で手術を行い、専門性の高い脊椎の手術や人工関節については、専門の病院を紹介させていただきます。
○ 患者さんへ
日常生活で介護が必要になる年齢のことを健康寿命と言います。日本は平均寿命、健康寿命ともに世界で一番ですが、そのギャップは男性で9年、女性で12年あります。女性の方のギャップが長いのは、骨粗鬆症による骨折が男性よりも多いからです。日本には1280万人の骨粗鬆症の患者さんがいて、女性が980万人、男性が300万人と言われています。しかし、治療をしているのは20%程度と言われています。骨粗鬆症の患者さんの多くは、骨折して初めて骨密度が低いことに気づき、もっと早く検査を受けておけばよかったと後悔される方がいます。骨粗鬆症は普段の食生活によっても防ぐことができますし、骨密度を増やす薬もあります。特に関西の方は骨粗鬆症による大腿骨近位部骨折が全国で最も多く、健康寿命も短いのですが、知らない方が多いようです。まずは骨密度の検査を受けることをお勧めします。
私は20年以上にわたって骨粗鬆症による椎体骨折の研究をしています。今も京都府立医科大学で学生さんに椎体骨折の授業をしています。椎体骨折の中には、外傷もなく自然に骨折して自然に治ってしまうものから、転倒して受傷し、激しい腰痛のため歩けなくなり救急車で病院に搬送されるものまで、様々な重症度の骨折があります。ところが、高度な医療をしている大病院では激しい痛みで救急搬送されたにもかかわらず、入院させてもらえない病院が少なくありません。その理由は椎体骨折の治療には2カ月程度かかるため急性期病院ではそれほど長く入院治療ができないという理由があります。ところが、椎体骨折を固定せずに自宅で安静にしている間に、骨折椎体は潰れてしまい、背中がくの字に曲がってしまい、体が衰弱してご飯も食べられなくなってしまう方がいらっしゃいます。背中がくの字に曲がると逆流性食道炎、食欲不振、便秘になります。外出もできなくなり日常生活が大きく障害されます。また、なかには受傷から2カ月たって両下肢の麻痺が出て、車いす生活になる人もいます。本来なら初診時にギプスなどで十分な固定をして、直ちに歩行を開始すればもとの元気な生活に戻れたはずなのに、寝たきりになるのは社会にとっての大きな損失です。椎体骨折は現在50歳の女性の40%が将来経験すると言われるほど一般的な病気であるにもかかわらず、十分な診断と治療がなされていないのが現状です。
私は椎体骨折に最適な治療をするために、骨折の重症度分類と背中が曲がらないための治療法を研究してきました。10年以上前はセメントを使った椎体形成術やスクリューを使った固定術などもしてきましたが、今では、脱臼骨折以外は手術をしないで治療しています。
尻もちで受傷した患者さんが病院に行くと、圧迫骨折ですと言われることがありますが、圧迫骨折というのは、若い男性が高所から転落したときに起こる外傷性の骨折で高齢者の脆弱性骨折とは全く違うものです。若者の圧迫骨折であれば、その多くは自宅で安静にしていても潰れることなく骨癒合します(図1)。
ところが、高齢者の椎体骨折は一見重症には見えなくても、あとで潰れてくることがあり、初診時に正しく診断しないと後遺症を残すことになります(図2)。
この患者さんは転倒して受傷しましたが、左の受傷時のレントゲンではどこが骨折しているのかわかりませんが、コルセットで治療すると右の写真のように潰れてしまいます。ここまで潰れると骨癒合には1年以上かかります。したがって、骨粗鬆症の椎体骨折では初診時に重症度を診断することが大切です。そのために、骨折の重症度を知るための分類を確立しました(図3)。
上の図3のA、Bはおもに尻もちによっておこる骨折で、Aは最も重症の骨折です。80%の方が救急車で受診されます。Bは次に重症の骨折で、約50%の患者さんが救急車で来院されます。Cは重たいものを持った時に起こる骨折で、受傷から2、3日して受診されますが、ただちに固定しないと1週間でstage 3に移行します。以上のA、B、Cが重症化する骨折です。Dは外傷もなく発症し、知らぬ間に治っていることも多いですが、多発するため、骨粗鬆症の治療が必要です。いずれのタイプの骨折も50代からの予防が大切です。
【医師紹介】
整形外科部長 杉田 誠 医師
卒業大学 京都府立医科大学
専門分野 脊椎外科、骨粗鬆症
(略歴)
平成2年3月 京都府立医科大学 卒業
平成2年5月 京都府立医科大学附属病院 研修医
平成4年4月 愛生会山科病院 医員
平成6年4月 蒲生町病院 医員
平成8年7月 京都第二赤十字病院 医員
平成10年4月 ユニチカ中央病院 医長
平成12年4月 公立南丹病院 医長
平成13年7月 宇治病院 医長
平成15年10月 京都府立与謝の海病院 副医長
平成18年1月 社会保険神戸中央病院 部長
平成19年4月 北須磨病院 副院長
平成28年5月 六地蔵総合病院 部長
令和5年7月 舞子台病院 整形外科部長